今のF-1、あるいは世界耐久選手権(WEC)のマシンはハイブリッド化されているので、エンジンの出力に回生エネルギーがプラスされる。一般道での走行とは違って、サーキットでのレースでは減速は常にフル・ブレーキングなので、そのブレーキエネルギーを回生すれば、普通車の場合よりはるかに大きなエネルギー量となる。
そして、市販のハイブリッドカーなら、この回生エネルギーは完全に自動制御されていて、ドライバーが意識的に使うことはほとんどないが、F-1やWECのレースでは、ドライバーが操作して使うようになっている。レギュレーションで一周で使えるエネルギー量が制限されているので、どこでどう使うかが重要な戦略要素になる。
例えば、WECでトヨタをドライブする小林可夢偉、中島一貴はこういうことを言っている。
可夢偉:(バッテリー&モーターでの)ブーストがあるので、それ(ターボ)はほとんど気にしていないですよ。気にしないということは問題ないんじゃない?ということだよね。
一貴:あとは、ル・マンのストレートではLMGTEとのスピード差が数十kmになるので、自分の目で見た距離感と、スピード差をどう考慮するかが難しいところでしょうね。4~500m先に相手がいる段階で、瞬時に(ブーストを使うか使わないかを)判断しないといけないので結構難しいはず。
(オートスポーツ2016 6/24号より)
いわゆるターボラグは、電気ブーストによってカバーできているようである。ただ、ターボのブーストが効き始めてから電気ブーストを使っても効果が薄いので、それも考えながら電気ブーストを操作しているようだ。
F-1の場合はターボと直結したMGU-Hユニットでターボの回転を加速することもできるので、なおさらターボラグは関係なくなっている。この回生エネルギーの開発はF-1ではそろそろ頭打ちになってきて、前回書いたように燃焼のほうにフォーカスされてきているようだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿