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2025年12月1日月曜日

タディ・ポガチャルの“ジロ&ブエルタ入れ替え案

 ヨーロッパの自転車ロードレースが本格的にシーズンインするのは3月のミラノサンレモからだが、スペインでは2月早々から、魅力的なステージレースが行われる。荒涼としたスペインの大地を走るステージレースは独特の魅力がある。近年は高温化が進んでいるから、スペインのベストシーズンは春先なのかもしれない。8月後半に行われるブエルタ・ア・エスパーニャは酷暑で大変だ。

この酷暑を回避できる案として、タディ・ポガチャルは、このブエルタ・ア・エスパーニャと5月のジロ・デ・イタリアの開催時期を入れ替えたら良いのではと提案している。確かに良いアイディアかもしれない。


「伝統が発展を妨げている」

選手会会長のハンセン ポガチャルの“ジロ&ブエルタ入れ替え案”に賛同


アダム・ハンセン氏の元々の持論は、「ヨーロッパのレースカレンダー全体を2週間後ろ倒しにした方がメリットが大きい」というものだが、これはどうだろう。確かに春先のレース、特に例年寒いパリ・ニースなどは少し暖かくなってちょうど良いだろう。ブエルタ・ア・エスパーニャは2週間後ろ倒しになれば少しは暑さが緩むかもしれない。しかし、例年7月はじめから開催されるツール・ド・フランスが、今まで以上の酷暑に見舞われるだろうということが、最大の難点だろう。

東行庵の紅葉

 下関市吉田にある高杉晋作ゆかりの東行庵。紅葉の名所だが、今年もそろそろ見納めかな。







高杉晋作墓所の脇にある灯篭。


寄進者の名前が、

大江孝允 後の木戸孝允

源 馨 後の井上薫

越智博文 後の伊藤博文

となっている。ずいぶん歴史を遡っての姓になっているのが面白い。


奇兵隊及び諸隊士顕彰墓地の前にある司馬遼太郎文学碑





2025年11月27日木曜日

「室町文化」の真の姿|小名木善行

山口を本拠として、大内氏が大きな力を持ったのは室町時代。その室町時代の文化は面白い。そこに至るまでの時代の流れも面白い。平安時代の貴族が怨霊を恐れるあまり警察権の行使を放棄した結果、治安維持を担った武士が台頭し、怨霊を恐れない武家が政権を取った。続く室町時代には、霊界をリアルに描く能が武士階級の教養になった。

現代に至る日本人の意識を形成する上で、各時代の文化が非常に重要だったということだろう。


日本史に「山口時代」を設けよう~大内氏を研究する米大教授が提唱

 大内氏が実質的に滅亡した大寧寺の変についての新説を唱えたトーマス・コンラン教授が、また面白い提唱をしている。


日本史に「山口時代」を設けよう 大内氏を研究する米大教授が提唱


「日本の歴史の新しい時代を提案します。1465年から1551年までの期間を『山口時代』と呼ぶべきだと考えます」


1465年は大内政弘が大内家の当主となった年で、政弘は1467年に起こった応仁の乱に参戦し、圧倒的な軍事力によって戦を終息させた。1551年は大寧寺の変が起きて大内義隆が自刃し、実質的に大内氏が力を失った年だ。

応仁の乱によって、京都の室町に幕府を構えていた足利将軍が力を失い、代わって山口を本拠とする大内氏が強大な影響力を持つようになったので、「室町時代」から「山口時代」に代わったということにするとしても、その後大内氏が力を失ってから、いわゆる織豊政権が登場する「安土桃山時代」の始まりまで、なんと呼ぶのが良いか、ちょっとつながりが悪いですね。

2025年11月24日月曜日

カサンドラ・ウィルソンとアル・ジャロウ、二人のヴォーカリストによるBlue in Green のカバー

 マイルス・デイビスのアルバム「カインド・オブ・ブルー」に入っている、ビル・エヴァンスのハーモニーが美しい名曲、「ブルー・イン・グリーン」はいろんなアーティストにカバーされているが、ヴォーカリストによるカバーもいくつかある。

こちらは、女性ヴォーカル、カサンドラ・ウィルソンによるカバー。

リズムのアレンジや、アコースティックギターの使いが面白い。


こちらは僕の大好きな男性ヴォーカル、アル・ジャロウ。


こちらは、マイルス・デイビスのミュート・トランペットに近いデリケートなニュアンスがヴォーカルで表現されている。名手アル・ジャロウならではの仕上がりだ。

同じアルバムに、別バージョンも入っている。こちらはアップテンポで、まったく印象が違って面白い。


2025年11月22日土曜日

ビル・エヴァンスのハーモニー、コルトレーンのソロの立ち上がり~Miles Davis - Blue In Green (Official Audio)


この曲はいうまでもなく、マイルス・デイビスの超有名なアルバム、「カインド・オブ・ブルー」に入っている。いわば超定番のアルバムなので、勉強のつもりでさんざん聴いて、ほとんどの音を覚えているぐらいなんだけど、ここ最近、ビル・エヴァンスのアルバム「Explorations」を毎日のように聴いていて、今更ながらビル・エヴァンスはすごいピアニストだったんだと思いながら、この曲を改めて聴いてみる。マイルスが作曲したのか、ビル・エヴァンスが書いたのか、諸説あるようだが、この美しいハーモニーからは、ビル・エヴァンスのアイディアがかなり入っていることは確かだと感じる。

一度退団したエヴァンスを、このアルバムをつくるためにマイルスが再度呼び寄せたというのもうなずける。

そして、静かで美しいハーモニーの中からジョン・コルトレーンのソロが立ち上がるところで空気が変わる。思わずジーンときてしまった。コルトレーンのあまり多くない静かなソロの中でも、ひょっとしたら一番泣かせるソロなんじゃないかな、とも思った。


2025年11月19日水曜日

2000年の雑誌Esquireの特集「ジャズという名の街へ」とグレッグ・オズビー


今手元に、2000年9月号の雑誌「Esquire」(エスクァイア日本版)がある。

ふだん1950年代、60年代あたりのジャズを聴いていると、2000年なんてすごく新しいという意識になるけど、25年前なんだな~
まだロバート・グラスパーあたりも出てきていない時期だ。





「ジャズという名の街へ」という特集が組まれ、当時のジャズシーンにおいて、様々なジャンルの音を取り入れ革新的なジャズを目指したダウンタウン派と、伝統的なスウィングする伝統的なスタイルを洗練させた新古典派を対比するような形になっている。


ダウンタウン派として紹介されているジョン・メデスキとグレッグ・オズビー



新古典派といえばマルサリス兄弟、こちらは兄のブランフォード





しかし今考えると、この2つの流れは別に対立するわけでもなく、ある意味混在して今のジャズにつながっているのではないかと感じる。例えば当時のダウンタウン派のひとり、グレッグ・オズビーのユニット。




現代的なサウンドの中にも、60年代マイルスのモードのテイストは感じられる。ギターの大御所、ジム・ホールがいい味出してる。

2025年11月17日月曜日

Jon Batiste - Für Elise - Batiste (Official Music Video)

ベートーヴェンの有名な曲で、クラシックとジャズの間を自在に行ったり来たりするピアニスト、ジョン・バティステ。

こういう天才のパフォーマンスに接すると、いろんな考えが浮かび上がってくる。西洋音楽の世界で生まれたピアノという楽器の可能性が、ジャズやゴスペル、ブルースによって明らかに大きく広がったのだということ。

また、ベートーヴェンの曲だって、その当時どういうふうに演奏されたのかは、今となっては分からないということ。


頂き - スーパー登山部 (Official Mountain Video)

FMラジオでかかっていてたまたま聴いた曲。「スーパー登山部」というバンド名だから、大学か何かの山岳部なのかと思ったら、登山の経験があったのはキーボードの人だけらしい。でも、動画の中では楽器?を担いで登っている。

透明感のあるボーカルが印象的で、サウンドもいいし、歌詞がまた良いですね。


2025年11月13日木曜日

反省しました⇒なぜジャズは流行らない?最年少コントラバス世界王者の神解説

ジャズの排他性、確かにそうなんだよな~



自分で楽器を演奏してしまうと、一生楽器を演奏していなかった頃の耳には戻れない、というのはその通りだと思う。自分は楽器をやっていました、というのも恥ずかしいぐらい、本当に大したことはやっていないのだが、それでも全く楽器を演奏しない人がどういうふうにジャズを受容しているのか(好き嫌いにかかわらず)、自分が理解できるとは正直思えない。

「え、これロリンズだよ、聴いたことないの?ジャズやってるのに?」てつい言っちゃうようなジャズファンの排他性、これは反省しないと。言われた方は、「二度とジャズなんか聴くもんか」てやっぱり思っちゃうよね。

たまにジャズ喫茶なんかに行くと、つい、いかにも分かってるような顔したがるし、中州ジャズ見て、これジャズ?ただのフェスじゃないの?とか思っちゃったりするし、そういう意識は良くないですね。

2025年11月12日水曜日

AIが奪うかもしれないのは仕事、だけではないかも

 翻訳者、通訳者の本当に凄い人というのは、複数の言語、そしてその背後にある文化や価値観の違いを非常に微妙なところ、深いところで知っていて、両者の間に立って円滑なやりとりや交流、共存を可能にしてくれる。それは膨大な経験と考察の上にはじめて可能になる能力だ。しかし、そういった能力をもった翻訳者、通訳者の仕事が、成り立たなくなってきている。


AIに仕事を奪われる:あるドイツ語翻訳者の悩みの切実さ(AGORA 言語プラットフォーム)


AIの時代になっても、深く考えることが必要な作業は、AIにはできない人の役割として残る、という見方はあるのだが、それがその通りだとしても、仕事として成立しなくなりつつある。超優秀なごく一握りの超優秀な翻訳者、通訳者が積み重ねてきた努力が、経済的に割に合わなくなってしまいつつあるということだ。

仕事として成り立たなくなれば、それを目指す人材は限りなく減るだろう。言語習得はもともと大抵の人にとっては労多く、益少ない大変な作業だ。

しかしそれは同時に、異なる言語、文化の差異について、深く学び、考えようとする人材が限りなく少なくなってしまうということを意味する。

そしてこれは翻訳、通訳に限ったことではなく、自分で深く考えるという、面倒くさい作業を避ける人間が、いつの間にかAIの下に存在する、そういう時代になりつつあるのではないか。さらに言えば、深く考え物事を理解するという、面倒だが本当は面白い作業の、面白さ、楽しさを知らない人間が増えてしまう、その楽しさを奪われてしまうことになるのではないだろうか。

2軸クランク、トップフィードの広バルブ挟み角、モーターサイクルならあり?〜MV Agusta CINQUE CILINDRI

モーターサイクルの名門ブランド、MVアグスタから、謎の5シリンダーエンジンのコンセプト。

詳細は一切不明だが、外観から推測すると、前バンク3つ、後ろバンク2つに分かれたシリンダーは完全に平行に見えるので、クランクシャフトは2本だろう。エンジン単体として考えると複雑で、重量増にもなって非効率だが、モーターサイクルにおいてクランクシャフトの回転マスがどの方向に回るかは、運動性に大きく影響がある。おそらく、2本のクランクシャフトをギヤで連結して、逆回転させて、その影響を相殺させているんだろう。

シリンダーヘッド側を見ると、カムシャフトは3本、吸気側カムシャフトを前後バンクで共有している。吸気ポートは吸排気バルブの間から上に延びるいわゆるトップフィード。まるで昔のスーパーカー時代のエンジンのようだ。バルブ挟み角はどう考えても広くなり、最近の燃焼室をコンパクトにする流れとは明らかに逆行する。
しかしそれも、V型4気筒のように高い位置になるシリンダーヘッドの重量マスを前後に分散せず、1箇所に集中させるのは運動性を考えればモーターサイクルとしてはありだろう。

排気管が前後バンクでまとめられているのは、等間隔爆発だとしたらあり得ない。実際のマシンでは別の構成になるだろう。もし、不等間隔爆発だったら、MVアグスタのブランドイメージを考えると驚きだが・・・


2025年11月9日日曜日

縦横無尽なインタープレイ~Skyline Trio feat. Ron Carter, Jack DeJohnette & Gonzalo Rubalcaba - Gypsy

このキューバ出身のゴンサロ・ルバルカバというピアニストは凄い。

相当なテクニシャンだが、全体としては音数は多くない。研ぎ澄まされた音選びと、美しい音色で、熟練のドラマー、ジャック・デジョネットとベースのロン・カーターとの縦横無尽なインタープレイを見せる。