2021年からフォーミュラ1のレギュレーションは大きな変革を迎えることになっているが、AUTOSPORT誌(No.1509)の記事によると、パワーユニットについてはかねて予想されていた大きな変化はなくなる見込みのようだ。パワーユニットについていえは、2025年以降に導入される新しいコンセプトに、F-1技術部門の関心は向いているらしい。
F-1のチーフテクニカルオフィサー、パット・シモンズの言葉は以下の通り。
「斬新な機械的、化学的ソリューションを検討していく。たとえば、2ストローク、スプリットサイクル、バルブの位相、タイミング、リフトの可変機構、可変圧縮比なども考えていきたい」
「燃焼に関しては、すでにプレチャンバーイグニッションを使っているし、おそらく同時点火のような技術も導入されていく。もう一つの研究領域は燃焼圧力の向上だ。現状でも燃焼圧力はきわめて高いが、これをさらに進めていくとガソリンの圧縮着火も視野に入ってくる」
圧縮着火といえば、これをすでに実用化している唯一のメーカーはマツダだ。SKYACTIV-Xエンジンは、完全な予混合圧縮着火(HCCI)ではないが、スパークプラグによる火花着火を利用しながら圧縮着火を促す方法を実現し(火花点火制御圧縮着火、SPCCI)、通常の火花着火では成立しない超希薄燃焼を実現している。
以前のエントリー:マツダの圧縮着火エンジンについての続き
この技術をもって、まさかマツダがF-1のパワーユニットに進出することはないだろうが、日本のメーカーを含め、内燃機関づくりのノウハウ蓄積がある各自動車メーカーが、内燃機関の究極の高効率化をすすめることは、政治的な要因で電化が進みつつある自動車産業界の中でも、未来に向けてエコロジーの観点からも依然として重要であることは間違いない。
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