3月20日メルボルンで開幕する今年のF-1グランプリは、タイヤの新ルール、排気音を良くするためのレギュレーション変更、予選の変更等が話題となっている。
2014年のレギュレーション大幅変更以来、それ以前の空力が速さを決める時代からパワーユニット(PU)の効率が最重要となる時代に代わり、メルセデスのPUが圧倒的に強い状況が続いてきた。
もちろん空力が重要でなくなったというわけではなく、ターボや冷却系、エネルギー回生系統を含んだ複雑なパワーユニットのパッケージングをどう切り詰めて空力を改善しつつ、パワーユニットの効率を高めるか、という競争が行われている現状。ホンダが苦労しているのも、マクラーレンチームからのパッケージング面での厳しい要求に対応しつつパフォーマンスを向上させるための苦労に直面しているということのようだ。他のエンジンサプライヤーがやっていることと本質的に変わりはない。
その中で、フェラーリがパワーユニットの革新を行おうとしているという情報がある。
以下のパッケージングに影響する変更については、順当な改善であると理解できる。
Analysis: Ferrari poised for radical engine overhaul
フェラーリ、PUを「革新」。レイアウト変更認める
「可変インレットトランペットを採用、そのために昨年使用した大きなインタークーラーをVバンク内から動かし、ふたつの小さめのインタークーラーエレメントを燃料タンクの上と左サイドポッドに配置、冷却効率の向上を図ったとされている。
空力上のメリットを得るため非常に細いギヤボックスを採用、そのためにMGU-Kをエンジンの左側に移動、以前のものより幅広いオイルタンクがより低い位置に置かれた。こういったさまざまな変更により、パワーユニットのパフォーマンスが向上するとともに、空力面のメリットも得られるとの推測がなされている。」
しかし、要注目は以下のパワーユニットの燃焼室圧力を高めようとしているという情報だ。
フェラーリ、2016年F1は燃焼の秘密に期待する 1
「設定された目標のひとつは、燃焼室の圧力を300バール(約220~240バールとみられる昨年の圧力よりもかなり高い数値)に到達させることである。」
元ネタはこちらのようだ。
Technical analysis: Combustion secret to Ferrari 2016 hopes
「フェラーリの目標は、点火時間を短縮し、自動燃焼するディーゼルのようにエンジンを作動させることである」とある。燃焼を急速に行うことは、確かに爆発力を最大限に動力に転換できる可能性があるのは理解できる。しかし、ガソリンエンジンでいえば要はプレイグニッションのような現象で、ガソリンエンジンの宿命的な大敵であるノッキングにつながり、エンジンを壊すのではないか?また、自動燃焼は不定期な燃焼になってしまうのではと思うが、それをどういうふうにコントロールするのだろうか?
この目的を達成するための方策の一つが可変インレットトランペットの採用だという。
2014年以来のメルセデスの圧勝は、「スプリットターボ」(コンプレッサーをエンジン前部、タービンをエンジン後部に分けて配置)という思い切ったイノベーションが成功の要因となった。フェラーリが行おうとしているイノベーションが、大きな成功につながるのかが注目される。
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