pinterest

2016年1月12日火曜日

現代F1の複雑さと、昔の美しいレーシングマシン

いまやF1はハイブリッド技術によるエネルギー・マネジメントが勝敗を支配している。
2014年、2015年シーズンはチームとしては完全にメルセデスの完全勝利に終わっており、これはメルセデスのエンジン(というよりハイブリッドなのでパワー・ユニットと呼ばれることが多い)の優秀性によっている。
メルセデスのパワー・ユニットは、ターボチャージャーのタービンがエンジンの後ろ、コンプレッサーがエンジンの前にそれぞれついていて、その間にエネルギー回生を兼ねたモーターがついているという特異なレイアウトになっており、初めて見た時は正直驚いた。
これではタービン・コンプレッサーのシャフトが長くなり、慣性重量が増える。ターボでは宿命的なターボラグが大きくなってしまうはずだ。
しかし、タービン・コンプレッサーの慣性重量が増えることによるターボの反応遅れは、モーターがついていることによってカバーできる。そこで若干のエネルギーロスは発生するかもしれないが、ドライバビリティに与える影響をなくすことができる。そして、コンプレッサーで圧縮された空気がシリンダーに吸入されるまでの経路の長さに起因するラグはカバーできないが、そこを最小限にしたメルセデスのレイアウトの優位は確かに説明がつく。
フェラーリエンジンのレイアウトはサイズ的なデメリットがあるが、Vバンク間のスペースに水冷式のインタークーラーを配したアイディアは良いと思う。そして、来シーズンもそれぞれの基本コンセプトが踏襲されるなら、メルセデスの優位は変わらないだろう。不確定な要素はホンダのコンプレッサーだ。Vバンクの狭いスペースに収められたコンプレッサーは軸流式ではないかという推測が一時流れていたが、それは否定されている。しかし、小型の遠心式だとすれば、大きな過給圧を得ることが難しいはずだから、果たして今季以上のパフォーマンスを発揮できるのだろうか?

F1通信:メルセデスF1パワーユニット 写真で詳細解説 2: メルセデスPU106Bハイブリット


あまりにも緻密な現代のF1を見ていると、かつての牧歌的なレースの時代をどうしても思い出したくなってしまう。

Lancia LC1



(写真はWikipedia より)

この上なく美しいグラウンドエフェクトマシンだ。
1982年、世界耐久選手権において、その年のレギュレーションの間隙をついて、燃料規制を免れることで排気量がおよそ倍のポルシェと互角以上のパフォーマンスを見せた。美しい外観とはうらはらに、中身は旧式のシャシーにあり合わせのリソースを盛り込んで造り上げたらしく、確かにカウルの中を見ても吸排気の取り回しなど洗練されているとは言い難い。ターボラグは大丈夫だったのだろうか?

これは珍しい、Lancia LC1のオンボード映像



0 件のコメント:

コメントを投稿