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2014年4月19日土曜日

新緑の季節


そろそろ新緑が美しい季節である。冬の間葉を落としていた木々の枝から鮮やかな黄緑色に芽吹いてくるこの季節の美しさに気付いたのは、数年間アメリカに滞在し、久しぶりに新緑の時期に日本に戻ってきた時だった。四季のはっきりした日本ならではの美しさに改めて気付いたのだ。



森や山のことに詳しい方からきいたことがあるのだが、熱帯雨林というのは、年中暑い気候が生み出す植生がすさまじいほどの生命力を感じさせるが、実は土壌はやせているのだという。それに比べて日本の森林は、四季の変化につれて秋に葉を落とし、それが分解されて土嬢に養分をもたらす。その養分が吸い上げられて植生を成長させ、実りをもたらす。そのサイクルを繰り返して繁茂していく。新緑の美しさも、冬に完全に葉を落とした木々が一斉に芽吹くからこそ、あざやかな美しさを見せてくれるのだろう。



以前も紹介した「縄文への道(縄文塾)」からの受け売りだが、日本の森林は、「湿潤」かつ「峻険」であることが、世界でも稀有の環境をもたらしたのだという。



(以下、「縄文への道」からの引用)

たとえば地理的・地形的僥倖として、「森」という字が盛り上がった形を示すように、この地の大部分を占める峻嶮な山地は、そこに生える樹木の伐採を容易に許さなかったし、狩猟そのものを著しく困難なものにしてきた。先進国中最大の70%という森林のカヴァー率は、そのまま山岳地帯の占有比率と見事に重なり合う。一方平地が大部分を占めるヨーロッパの樹林は、寒冷で降雨の絶対量が少ないことから、この地の植生を貧弱なものにした上、その回復を簡単には許さなかったのである。

(引用ここまで)



さまざまな条件がからみあい、世界でも他に類を見ない豊かな森林を生んだ。世界史の中で、文明は森林を切り拓くことで興り、森林を失って滅んだという。森林の大切さを一人ひとりが意識すること、そして共同体内にある森林を維持していく仕組みを大切にすること、さらに国単位でも森林資源を守っていく努力が不可欠なのだろうと思う。

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