ミュージシャンズミュージシャンと呼ばれるアーティストがいる。一般の音楽ファンにはあまり知られず、ミュージシャンばかりに関心を持たれるマニアックなミュージシャンというような意味合いだが、そのミュージシャンズミュージシャンの典型のようなギタリストがこのアラン・ホールズワースだ。音楽的(というとあいまいなのでもう少し端的にいうと和声的に)独自の世界を創り出し、これだけの音数を出しながら、和声的に無駄な音は一つもないと言えるだろう。
しかしあまりにも独自な音楽性で、理想を求めるあまり活動は変動が多く、経済的には困窮していたというから、この音数を考えると、一音あたりの単価はかなり低いだろう(失礼!)。
アラン・ホールズワースに多大な影響を受けた、いわば弟子のエディ・ヴァン・ヘイレンが、師匠のソロアルバムの制作を援助し、世に出して窮状を救ったという話もある。
当時このライブのレーザーディスクを見て、ボーカルの、あまりにイケてない見た目(特にファッション)の印象もあって、当時はこのボーカルいらないんじゃない?誰も聴いてない(みんなギターしか聴いてないし)と思ったものだけれど今あらためて聴くと、こんな複雑な和声の曲をこんなに正確に歌えるなんて、すくなくともテクニックは大したものだと思う。
このライブや、アルバムi.o.u.などを改めて聴くと、ヴァン・ヘイレンの元ネタはこれだったのか、という発見もある。しかしこのあまりにも複雑な(現代音楽のような)ホールズワースの和声を、おそらくセンス一発で(エディ・ヴァン・ヘイレンは楽譜を読まないらしい)解釈して、あっけらかんとしたアメリカ西海岸風のハードロックにしてしまったヴァン・ヘイレンの天才ぶりもまた凄まじい。
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