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2016年11月2日水曜日

ホンダも予燃焼室をもつTJIに方向転換?(F-1)

単なる速さではなく、エネルギー効率の高さが勝つために要求される現在のF-1で、現時点ではホンダだけが使っていないTJI(タービュラント・ジェット・イグニッション)を、ホンダも来年から使う可能性があるようだ。復帰後2年目の今シーズン、徐々に競争力を見せてきているホンダの、来期のさらなる活躍に期待したいところだが、果たしてこれは前向きな方向転換と考えて良いのだろうか。

ホンダも2017年パワーユニットにTJI技術を採用か

予燃焼室を使った技術は、メルセデス、フェラーリ、ルノーが使っており、今年の春の時点でフェラーリエンジンの画像を含めた情報が出ていた。

Turbulent Jet ignition pushes engine combustion efficiency

予燃焼室を使って、理論空燃比よりも混合気が薄いリーン状態でターボによってブーストを上げる「リーンブースト」をきちんと成立させるための技術のようだ。リーン状態だと普通の燃焼室ではうまく着火するのが難しいので、こういったデバイスが必要になる。
そもそも、空燃比を薄くして燃焼する「リーンバーン」は、パーシャルスロットル(アクセルを途中まで踏んだ状態)の時にポンピングロスを軽減して燃費を良くするための技術であり、市販車ならともかく、アクセル全開で使うことが圧倒的に多いレーシングエンジンにおいてはあまりメリットはないのではないかと考えていたが、今のF-1のレギュレーションでは、燃料の最大流量に制限があるから、最大出力が欲しいアクセル全開の領域でも、流量制限いっぱいの燃料を噴射し、その燃料を燃やすために必要な量をさらに上回る量の空気をブーストして入れるリーンブーストにもメリットがあるということなのだろう。

この予燃焼室はHCCI(予混合圧縮着火)には関係ない、と思う(推側)。
各エンジンサプライヤーがどういう燃焼技術を使っているのか、本当のところはホンダを含めてどのチームも明らかにはしないが、これも推側ながら、もしかするとホンダはHCCIをやっていたのではないか。ホンダエンジンの排気音は時々独特のパルス感のある音になるので、それがHCCIモードに切り替えた時の音だったのではないか、というのが勝手な推側だ。しかし、HCCIが使える領域は限られていて十分にメリットが出ないために、予燃焼室を使ったリーンブーストのメリットを最大限に生かす方向に振るということではないか(推側)。もしそうだとすると、HCCIを諦めて技術的には後ろ向きの方針転換なのかもしれない(違ったらごめんなさい)。
しかしながら、他のエンジンサプライヤーが使っていた技術を使わず、HCCIかどうかは別としても独自の技術で、今シーズンここまでのパフォーマンスを見せていたとすれば、それはそれでなかなかすごいことだったのかもしれない。

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