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2015年6月11日木曜日

遅筋と速筋 人の身体はよくできている

筋肉を構成する筋繊維には、速筋と遅筋という2種類がある。この2種類の筋繊維が混ざり合って筋肉を構成している。速筋は瞬間的に大きな力を出せるが持久力がない。一方遅筋のほうは瞬発力はなく大きな力も出せないが、持久力がある。そして身体の筋肉の部位によって、速筋主体の筋肉や遅筋主体の筋肉があるということだ。また、速筋はトレーニングによって筋肥大しやすいが、遅筋はあまり筋肥大はしないらしい。

だから、ランナーであっても短距離選手と長距離選手では筋肉の付き方が違う。脚の筋肉でいえば、太腿の筋肉は速筋主体で、ふくらはぎの筋肉は遅筋主体になっている。だから短距離の選手は太腿あたりの筋肉はかなり太いが、ふくらはぎは比較的細い人が多い。ウサイン・ボルトなんかも、ふくらはぎはカミソリのように細い。

ボルトの筋肉はすべて速筋か

いっぽう長距離の選手は、太腿が細い選手が多い。長距離ではあまり役に立たない速筋が大きくなりすぎると重りにしかならないのだろう。そして、遅筋はあまり筋肥大しないから、トレーニングしたところでふくらはぎもそれほど太くなるわけではない。ちなみに、体幹筋も遅筋が主体だから、長距離ランナーは筋肥大せず全体的に細いわけだ。

さて、「Born to Run」によれば人は走るために生まれてきたはずだが、やはり走るだけでは生活できない人が大半なので、労働しなければならない。しかし、労働することを考えても、速筋と遅筋の配置というのは良くできている。脚の筋肉と同様に、上肢においても、より先端に近い肘から先の前腕部は、ボディビルをやっている人でもそれほど肥大しないが、それはやはり遅筋が主体だからである。そして上腕部は速筋主体だから鍛えれば力こぶが大きくなる。

実際に身体を使って何らかの作業をするとき、例えばナタをふるって木の枝を打ち落とす作業を考えてみると、ナタを握る力は前腕部で出している。遅筋だから大きな力は出ないが、その代わり長時間ナタを握っていられる。もしこれが速筋だったら、何度かナタを振り下ろしているうちに筋肉が疲れてしまって握っていられなくなり、ナタがどこかに飛んで行って危険だ。太い枝を打つ瞬間の力は瞬発力のある速筋で出せばいい。実によくできている。そして、労働を一日じゅう、毎日やろうとすると、速筋の力に頼っていては筋肉痛で続かないはずだ。体幹の遅筋をうまく使えるように工夫するのが、体をうまく使う、「コツをつかむ」ということになるんだろう。

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