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2014年2月13日木曜日

奥が深いダイエット(日本の伝統食、米と大豆)

昔の日本人の優れた体力と、それを支えた日本の伝統食の効力を物語る逸話として、「ベルツの実験」というものがある。ベルツという人は明治政府に招かれて来日したドイツ人の医師で、東京医学校(今の東京大学医学部の前身)で教鞭をとり、日本の医学の発展に多大な貢献をした人だという。
そのベルツが東京から110キロ離れた日光まで旅行をした時、1回目は馬で14時間かけて、馬を6回乗り換えて行った。しかし2回目に行ったときは人力車で行ったのだが、その時はなんとたった一人の車夫が、14時間半で行ってしまった。馬よりすごいこの体力はどこからくるのか、ベルツが車夫の食生活を調査したところ、米、麦、芋類、粟等の低タンパク・低脂肪食。
そこでベルツは、この車夫にドイツの進んだ栄養学に基づく食事をさせればもっと力が出るだろうと考え、車夫を2人雇い、一人に普段通りの食事、一人に肉類等、高タンパクの食事を摂らせたところ、高タンパクの食事を摂らせたほうは3日目で疲労が激しくなり、「普段の食事に戻してほしい」と頼んだので、仕方なく元の食事に戻すとまた走れるようになった。日本人には日本食が良いということを証明する結果になった。
当時の人力車夫の1日の平均走行距離は50キロメートルだったという。自分の身体だけではなく、人力車を曳いてこの距離を走るのだから、クリストファー・マクドゥーガルの「Born to Run」に描かれる「走る民」タラウマラ族を彷彿させる持久力だ。タラウマラ族の伝統的な食生活も質素だということだから、西洋の栄養学によるバランスの取れた食事よりは、西洋人から見れば粗食といえるような伝統的な質素な食事が、むしろ体を強くするということなのかもしれない。
幕末から維新にかけて活躍した志士も、下級武士の出身者が多かった。当時の下級武士は大抵生活は貧しかったから、子供の時から質素な食事で育ってきたのにも関わらず、その肉体が健康で強靭であることが、西洋人を驚かせたという話もきいたことがある。
しかしながら、当時の明治政府は、このベルツの実験の教訓よりも、西洋の栄養学を結局は選んでしまった。日本人の食生活が欧米化したのは第二次大戦後に、アメリカの政策の影響を受けてのものだと考えられているが、実は明治の時点でその伝統の良さを失い始めていたといえるかもしれない。
また、人の体をつくるために欠かすことができず、体内で合成することもできないと言われている必須アミノ酸の摂取という観点から見ても、日本食の中心となる米食と大豆食品を摂っていれば欠乏することはないという。
個人的には、先日書いた血液型ダイエットに従うとO型の私にはあまり適合していないのだが、日本の伝統食のメリットは大いに見直すべきだろう。

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