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2025年11月12日水曜日

AIが奪うかもしれないのは仕事、だけではないかも

 翻訳者、通訳者の本当に凄い人というのは、複数の言語、そしてその背後にある文化や価値観の違いを非常に微妙なところ、深いところで知っていて、両者の間に立って円滑なやりとりや交流、共存を可能にしてくれる。それは膨大な経験と考察の上にはじめて可能になる能力だ。しかし、そういった能力をもった翻訳者、通訳者の仕事が、成り立たなくなってきている。


AIに仕事を奪われる:あるドイツ語翻訳者の悩みの切実さ(AGORA 言語プラットフォーム)


AIの時代になっても、深く考えることが必要な作業は、AIにはできない人の役割として残る、という見方はあるのだが、それがその通りだとしても、仕事として成立しなくなりつつある。超優秀なごく一握りの超優秀な翻訳者、通訳者が積み重ねてきた努力が、経済的に割に合わなくなってしまいつつあるということだ。

仕事として成り立たなくなれば、それを目指す人材は限りなく減るだろう。言語習得はもともと大抵の人にとっては労多く、益少ない大変な作業だ。

しかしそれは同時に、異なる言語、文化の差異について、深く学び、考えようとする人材が限りなく少なくなってしまうということを意味する。

そしてこれは翻訳、通訳に限ったことではなく、自分で深く考えるという、面倒くさい作業を避ける人間が、いつの間にかAIの下に存在する、そういう時代になりつつあるのではないか。さらに言えば、深く考え物事を理解するという、面倒だが本当は面白い作業の、面白さ、楽しさを知らない人間が増えてしまう、その楽しさを奪われてしまうことになるのではないだろうか。

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