pinterest

2021年7月22日木曜日

ロシア人一行のために日本ではじめてつくられた洋式帆船

自然の風を利用して走るセーリングヨットは美しい乗り物だ。
SailGPのフォイリングする最新鋭のカタマラン(双胴艇)は大迫力。しかも機敏な動きで、まさに海のフォーミュラカーのようだ。一方で、伝統的なヨットも美しい。
最大のインショアレース、アメリカスカップも今世紀初頭まではフォイリングしない伝統的なモノハル艇だった。何しろ長い歴史を持つレースだ。

最初のアメリカスカップで勝った船はスクーナーと呼ばれる形式の船だ。


ペリーの黒船来航より前のこと。そして、ペリー提督も無関係ではない。

1851年にアメリカスカップをニューヨークに持ち帰った時、ニューヨークヨットクラブは祝賀会を催した。クラブの名誉会員でもあったペリー提督もその祝賀会に出席していたのだという。
ちなみに、はじめて見る西洋式蒸気船として当時の日本人を驚かせたペリーの艦隊は、実際には蒸気船2隻に帆船2隻だったようだ。ペリーが生まれたのはアメリカにおけるヨットのメッカ、ロードアイランド州ニューポート。

そして、ペリー来航の数年後に日本ではじめてつくられた洋式帆船、ヘダ号も、これによく似たスクーナーだ。船を失ったプチャーチン提督をはじめとするロシア人一行を帰国させるためにつくられた。


沼津市戸田にある戸田造船郷土資料博物館で精密な模型が見られる。前後2本のマストにガフセイルとよばれる不等辺四角形のセイルが張られている。

そのうち、メインマスト(後ろ側)のセイルにはブームがついているが、フォアマストのガフセイルにはブームがついていない。その代わり(と言っていいのか)船首のジブ(三角形のセイル)にブームがついている(動画に出てくる模型ではついていないようだが)。アメリカスカップの The Yacht America も、絵を見る限り、同じ構成になっているように見受けられる。

スクーナーという船型は、逆風帆走性能に優れ、少人数でも運航可能、小型船に適していて輸送や漁船等にも使われた実用的な船だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿