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2019年9月30日月曜日

破られなかったアイルトン・セナのコースレコード ~ スーパーフォーミュラ岡山

スーパーフォーミュラ第6戦岡山。全長3.703kmのトリッキーなテクニカルコースのコースレコードは、F-1界の伝説的ドライバー、アイルトン・セナが25年前に当時のF-1マシンで残している。

25年間破られていないこの記録について思い起こすと、セナが乗るウィリアムズのマシンはその前年まで、アクティブサスという先進技術を完成させることによって最速を誇っていた。より正確にいうと、天才的デザイナー、エイドリアン・ニューウェイによる先鋭的な空力設計をもった車体の能力を、アクティブサスによって安定させることによって100%活かすことによって最強マシンとなった。

しかし、その翌年1994年には、そのアクティブサスをはじめとするハイテクデバイスを禁止され、姿勢を安定させるデバイスを失ったウィリアムズのマシンは、空力は優れていたが姿勢変化に極端に敏感で、扱いづらいマシンになってしまっていた。
セナは天才的な能力によって、空力性能を発揮できる姿勢を保ち続けて走り、その末に出したベストタイムだったのだ。




モータースポーツのようなマシンスポーツにおいて、もしレギュレーションが据え置きならば、技術の進歩によって、いかに天才の出した記録であってもそのうち破られていたはずだ。
しかし、技術が進歩し続ければマシンはどんどん速くなる。人間のコントロールできる範囲を超えた道具では競技はできないから、安全確保のためにレギュレーションを変えて制約する必要がある。実際のレースは技術の進歩とレギュレーションの制約とのいたちごっこになる。

岡山の場合はその翌年1995年を最後にF-1が開催されていない。F-1の下層カテゴリーながら、一時はF-1よりコーナーリングが速いとも言われたスーパーフォーミュラで、今年からニューマシンが投入され更に速くなり、この25年前の記録の更新が期待されることになっているわけだ。




レースは、空力、燃料、タイヤ、ハイテクデバイス等、様々な面でのレギュレーションの制約の中で最適解を見出す作業だ。

予選の中継を見ていると、特にアタック時間が非常に短く、その中であらゆる条件をそろえてタイムを出すのは至難の業に思えた。暑さにも苦しめられたようだ。
結果的に、予選トップタイムは平川亮の1分12秒700で、セナのレコードには約2.5秒届かなかった。


レッドブルTVの中継で解説の津川哲夫さんが、アイルトン・セナの当時のメカニックとして貴重なエピソードを語っていた。
1984年モナコGP、セナは性能の劣るマシンで雨の中を快走し、2位に入った伝説のレース。悪天候でレース続行不可と判断されたためにレースは中断、セナは2位に終わったが、もう一周あればセナが勝っていた、とも言われた。しかし、実はもう1周走っていたらマシンがもたない状況だったのだという。

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