最初にマイルス・デイヴィスを知ったのは高校生の頃だった。ロック等を聴きながら、その中にある即興演奏の片鱗に興味を持って、より即興の比重の大きいジャズに興味がわいた。
マイルス・デイヴィスは、即興演奏自体を追求した、というタイプとはちょっと違う。即興演奏が天才的であったかといえば、そういうわけでもないだろう。
ジャズの即興演奏において、天才的なプレーヤーと明らかに言えるのは、例えばサックスのソニー・ロリンズだろう。ソニー・ロリンズのすごさは、一音で空気を変えてしまうぐらいのトーンの存在感もさることながら、その瞬発力の鋭さだと思う。マイルスはそれとは違う。
また、同じくサックスのウェイン・ショーターのように、もがき苦しみながらもきわだった発想のメロディを絞り出す、というのとも違う。
しかしながらマイルスの音楽には、即興演奏のスリリングな魅力があふれている。自分自身が最高の即興演奏者であろうとするよりは、バンド全体のサウンドに即興演奏のスリリングさを体現するという点において最高の完成度をもとめ、そのために創造性の限りをつくした、とでもいえばいいのだろうか。
そのかわり、即興演奏のソロ以外のどうでもいいテーマの演奏などは、けっこうトチッた演奏がそのままレコードになったりしている。そんなことは、ジャズにおいてはどうでもいいのだ。
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