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2013年10月28日月曜日

能楽師の身体能力と大腰筋

「ナンバ走り」から、日本古来の身体の動きに興味が出てきて、いくつか本を読んだりしているが、「身体能力を高める和の所作」(安田登)

には、大腰筋の重要性が書かれている。能楽師の身体の動きというのは、ゆっくりしているようで実は突然素早い動きをしたり、その身体能力は驚くべきものがある。しかも、七十代、八十代といった高齢になってもあたりまえに舞台で現役を務めている。その動きの秘密が深層筋、特に大腰筋にあるようなのだ。また、優れたアスリートも大腰筋をうまく使っているという。

能の動きは、よく見ると緊張感に満ちていて非常に興味深い。独特のすり足の動きも美しい。
また、能というのは即興性が非常に高いのだという。そういったところもジャズとの共通点が感じられるところだ。



(「即興芸術としての能」の欄を参照)

また、聖職者である呪師に代って、猿楽師(エンターテインメントの玄人)により例式の後の余興芸として行われるようになった能は、入念なリハーサルを行わない上に一度きりの公演であるという点も独特である。通常の演劇では事前にリハーサルを重ね、場合によってはゲネプロという形で全て本番と同じ舞台・衣装を用いるが、能では事前に出演者が勢揃いする「申し合わせ」は原則一回であり、しかも面や装束は使用しない。これについて前出の八世観世銕之丞は、能は本来、全て即興で演じられるものであり、出演者同士がお互いのことを解りすぎていることは、能においてはデメリットになると論じている。


ジャズの躍動するリズムが即興の緊張感を保つために機能しているように、能楽における能楽師の独特な身体能力も、これまた緊張感を保つために機能しているのではないか。

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