pinterest

2025年10月24日金曜日

未発表トラック~Bill Evans Trio - Someday My Prince Will Come

スコット・ラファロ(ベース)とポール・モチアン(ドラムス)をフィーチャーしたビル・エヴァンス・トリオのスタジオ録音作品を史上初めて完全収録した作品集がリリースされるらしい。その中から、これまで未発表であったトラック「Someday My Prince Will Come (Take 1)」が先行公開された。すでに完成されていた印象のビル・エヴァンスのピアノと、トリオの緊密なインタープレイが、この未発表録音でも存分に味わえる。




このスコット・ラファロという若手天才ベーシストが、ピアノトリオでの演奏中に、ビル・エヴァンスに「ギャラを上げてくれ」と交渉していたという話をきいたことがある。いかにも神経質で繊細なビル・エヴァンスにむかってそんなことをするなんて、なかなかえぐい性格だな、という印象をもったのだが、アルバムジャケットの写真などから想像されるビル・エヴァンスの神経質で繊細なイメージは、実は売るためのキャラ設定だったらしい。

実際のビル・エヴァンスは、明るく気さくで、親切な男だったらしく、学生時代はアメフトの選手だったというから、やっている音楽とは確かにイメージがかけ離れている。ビル・エヴァンスは、だいぶ後のインタビューの中で、若いころのアルバムジャケットを指して、「このいかにも気難しくて神経質そうな男は誰だ?」などと冗談を飛ばしていたという。

このビル・エヴァンスの実際の人柄を踏まえると、ちょっと違った人間模様が見えてくる。ひょっとしたら、明るく気さくなリーダーに甘えた若いスコット・ラファロが、「ねえ、おれのギャラ上げてよ」と演奏中のビルに話しかけ、ビル・エヴァンスのほうは、「何いってんだこんなときに、後にしろ」ぐらいに応じていたのかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿