南米のアマゾン川流域は、手つかずの自然ではなかった。驚くほど大きなスケールの文明の痕跡が発見されはじめている。
LiDARというのは、レーザー光を使ったスキャン技術で、これによって分厚い林冠の下に隠れた古い社会の痕跡を発見することが可能になった。
雑誌National Geographic 日本版2024年10月号の記事に載っているが、「ポルトガルがアマゾン中心部の植民地化と資源開発を進めたため、この地域の人口は激減した。ヨーロッパ人がもたらした天然痘などの感染症で、先住民の8割以上が死亡したとみられる。生き残った人も奴隷にされるのを恐れて、ほとんどが内陸部の奥地に逃れた。そのためもともとは定住していた農耕民が移動しながら狩猟採集生活を送るようになった。18世紀にヨーロッパの博物学者が初めて調査に入ったときには、多くの場所が密林に覆われ、人の姿はほとんど見えなかった。この地域は以前からずっとこういう状態だったのだろうと、学者達は判断した。」
「アマゾンの初期の先住民は、人工林の育成だけでなく、土壌の改良もした。(中略)炭と有機物のほか、多くの場合は陶器のかけらも混ぜた土で、作物がよく育つばかりか、肥料をほとんど、あるいはまったく施さずとも、何百年も肥沃な状態に保たれる。」
このアマゾンの先住民によって改良された肥沃な土壌が人類の将来にわたって大きな可能性を秘めているというのも興味深い。
熱帯雨林は恐ろしいほどの自然の生命力に満ちた世界だ。それによって人間の営為が覆い隠されていた。あらゆる自然の恵みがちょうどよく塩梅された日本の環境とは隔絶した世界でもあるのだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿