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2016年5月15日日曜日

中国化する日本?韓国化する日本?

日本の「良さ」にフォーカスしようとする風潮の中、大胆なタイトルの2冊の本、一つは「中国化する日本」(與那覇 潤 著)、もう一つは「韓国化する日本、日本化する韓国」(浅羽 祐樹 著)を改めて読んでみた。「中国化する日本」のほうは発売されてすぐに購入して読んだ。「韓国化する日本、日本化する韓国」のほうは前々から気になっていたのだが、最近機会があって読んでみた。

「中国化する日本」は、近頃の大学の講義はこうなのか?というような文体が正直なところ読みづらいのだけど、内容は重要な示唆に満ちている。中国の宋朝が世界で一番早く近世になったという解釈と、その世界に先駆けて近世になった中国に、世界がだんだん似てきたということ、日本も何度も「中国化」しそうになったが、結局「江戸時代」に戻ってしまうという説は、全部が全部ではないとしても、目から鱗といえる。

一方「韓国化する日本、日本化する韓国」のほうは、かなりていねいに韓国に向き合って書かれている印象だ。ことさらに韓国寄りの言説とも言えない。むしろ韓国の悪い所も指摘しつつ、昨今の日本がその悪い所に似つつある側面も指摘している。また、慰安婦の問題で国際世論に訴えるという面で韓国に後れを取り続ける日本、具体的にはアメリカのオピニオンリーダーであるワシントンDCに注力した韓国と経済の中心であるニューヨークに力を入れていた日本との対比は重要だ。
韓国はアメリカのようなイノベーターではないが、アーリーアダプターであり、新しい状況にいち早く適応する性質がある。その韓国は、近い将来日本と韓国が直面する問題に日本より先に、より切実に直面している。それは高齢化と、北朝鮮の崩壊。

内向きになっているのみならず、世界に対して思考停止しているきらいもある日本にとって、重要な警鐘を鳴らしている二冊だと思う。

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