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2014年9月20日土曜日

フォーマットとイノベーション

チャーリー・パーカーのサヴォイ・レコーディングを久しぶりに聴いている。曲のテンポに関わらずスリルにあふれたパーカーのアドリブは、今更ながらどう考えても天才としかいえない。例えばハイテンポのドラムの上で、フワフワッと吹いただけでリズムをしっかりつかんでいる、ジャズ用語でいえば「スイングしている」のだ。一緒に演奏しているマイルス・デイビスは、やっぱりかわいそうだ。
4ビートジャズのフォーマットというのは、天才じゃないプレーヤーはダサくなってしまう、本当は恐ろしいフォーマットだったのかもしれない。実際、ダサいプレーが世の中にはあふれている。美的スタンダードが人一倍高かったマイルスには、それが許せなかったのではないか。だからマイルスはフォーマットをどんどんいじったのではないだろうか。
プレーヤーとしてのマイルスが一番輝いたのは1960年代。ハイテンションなトニー・ウイリアムスのドラムにあおられて、アヴァンギャルドで、なおかつエモーショナルなソロプレーが、アルバムIn Concertでは聴ける。その後、ウェイン・ショーターが加入すると、アヴァンギャルドな方向に他のメンバーが突っ走ろうとするのを、マイルスがむしろつなぎとめる方向で、絶妙なバランスを持ったフォーマットが実現した。
そして、60年代終盤のIn a Silent Way以降のエレクトリック時代にマイルスが創り上げたフォーマットは、個々のプレーヤーが即興プレーヤーとしての天才性よりも、イノベーティブでないとダサくなってしまう、あるいは出す音がないような場だった。
ついでながら、1981年の復帰後のマイルスは、マイルス自身のカリスマ性を最大限に活かすフォーマットとなった。
以上のような流れが、マイルスの創り出したフォーマットの大まかな私の理解だ。間違っているところがあったら、お許し願いたい。

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