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2015年6月17日水曜日

環太平洋地域の文明についてのヒント

人類の起源について、現生人類につながる現代型ホモサピエンスはアフリカで生まれ、世界中に拡がっていった、という「アフリカ単一起源説」が、今のところの定説である。ミトコンドリアDNAの研究により世界中の現代人の共通の祖先がアフリカの一人の女性にたどりつくというミトコンドリア・イブ理論が根拠になっている。
しかし、オーストラリアの先住民アボリジニのことを調べていて偶然見つけたのだが、その定説をくつがえすような事実があるのだという。

アボリジニ 進化の鍵を握る人々

まず、「アフリカ単一起源説」によれば、アフリカから移動していった人類が一番最後に到達したのがオーストラリアということになるのだが、長い年月をかけて進化しつつようやくオーストラリアに達したはずのオーストラリア先住民が、古い人類のものとされる、比較的 厚い頭蓋骨、発達した眼窩上隆起、後退した額に突出した顎部と大きな歯などの特徴を持っているということがある。

さらにもう一つ、オーストラリアには2種類の古代人がみつかっているが、レークマンゴーというところで見つかった非常に現代的な特徴をもった人骨が、カウスワンプで発見された古代型ホモサピエンスよりも、はるかに古いという逆転現象があるという。
「これらの事実を考える限り、アフリカで進化した現代人が原始的な人々を駆逐して入れ替わったとする仮説は完全に成り立たない。」
少なくともアボリジニについては、アフリカ起源の直接の子孫ではないと考えられるとすれば、アフリカ以外の場所でも進化を進めた現代型ホモサピエンスが、互いに影響しながら世界に広がったと考える方が自然なのではないだろうか。

超古代からの人類の歴史については、分からないことのほうがはるかに多い。
オーストラリア、オセアニアを含む環太平洋地域には、西洋文明とは異質な文明がある。欧米によって植民地化され、西欧中心の歴史観によって歴史の表舞台には出てこない文明だ。国際日本文化研究センターの安田 喜憲(やすだ よしのり)教授は、象徴的に「ミルクを飲まない文明」と表現している。欧米に代表される「力と闘争の文明」に対する、「美と慈悲の文明」であり、「力と闘争の文明は森を破壊する畑作牧畜民の文明」なのに対して、「美と慈悲の文明は森と共存する稲作漁労民の文明」であるとしている。

森を守る 心を守る

特に環太平洋地域には、これからの人類が目指すべき共生的な文明への重要なヒントが眠っているのではないか、と感じている。

世界史を塗り替える成果 -新学術領域研究「環太平洋の環境文明史」を振り返る

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