アイルトン・セナの初タイトルマシンの設計に携わったゴードン・マレーだが、彼がイノベーティブさを大いに発揮したのはブラバム時代だ。
ロータスのコーリン・チャップマンが発明したベンチュリ―カー(グランドエフェクトカー)に対抗し、巨大なファンでフロア底面のエアを吸引することでダウンフォースを獲得した「ファンカー」BT46B
アルファロメオのフラット12からフォードDFVのV8に変えて可能になったシャープなベンチュリ―カー BT49
まさしくパッケージングの天才!
1983年からのベンチュリ―カー禁止に対して、後輪に荷重を集中させたウェッジ型 BT52
そして直列4気筒をほぼ横倒しにした超低重心 BT55
さらに、デザインのみならず、圧倒的なパワーの代償に燃料消費が多かったBMWのエンジンの弱点を補うために決勝レース中の給油を行うピットストップ戦略を考え出したのもゴードン・マレーだった。
当時は、F1がまだメカニカルな時代、つまり、コンピュータ解析はまだ未発達で、エンジニアが経験と勘でメカニカルな発想でマシンを作り上げた時代。今のようにコンピュータでのシミュレーションができないので、不確定要素が多かった。レース中に突如エンジンブローでリタイヤすることも度々。粗削りなドライバーも多く、マシンのセッティングも自分でできないようなドライバーすら存在した時代だ。
しかし、ターボやグランドエフェクトカーという技術的にはエレクトロニクス時代よりもむしろ重大な変動があり、しかもそういったアイディア、コンセプトを十分にコントロールできるテクノロジーがなく、激動の時代だった。
大胆な発想力をもった鬼才ゴードン・マレーもまた、力を最大限に発揮できるタイミングでF-1界に登場したといえるだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿