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2019年1月27日日曜日

ル・マン24時間でトヨタに負けなかったポルシェ919ハイブリッドのパワーユニット

ル・マン24時間レースでついにトヨタが破ることができなかったポルシェ919。



トヨタTS050ハイブリッドとポルシェ919ハイブリッド両方の走行動画。カラーリングが似ているので紛らわしいが、先行するビィーンというような音がポルシェ、後に続く少し高くヴォーンと響くV型6気筒らしい音がトヨタ。このビィーンという安っぽいポルシェの排気音がずっと疑問の種だった。

ポルシェ919のエンジンは90度V型4気筒。しかし、表面上同じシリンダーレイアウトの90度V型4気筒のホンダのモーターサイクルとは明らかに違う排気音だ。しかも、この919は初期においてはエンジンの振動に苦しめられたということだった。

90度V型というのは、バンクを挟んで向かい合う2つのピストンがクランクピンを共有することで、クランクに適切なバランスウエイトをつければ一次バランスが取れ、爆発は不等間隔になるが振動的には楽なはずなのだ。もちろん一次バランスが理論上取れていても、ある程度の振動は起こりうるが、ポルシェ程のコンストラクターが苦しむほどの振動であるはずがないんじゃないか、というのが疑問だった。

そのメカニズム詳細が、モーターファン・イラストレイテッド特別編集「Motorsportのテクノロジー 2018-2019」に載っている。


この表紙と、中にもクランクシャフトアッセンブリの写真が載っているが、それを見ると、バンクを挟んで向かい合うピストンはキングピンを共有せず、さらに各シリンダーのキングピンの位置を見ての推測だが、4つのシリンダーが等間隔爆発するようになっていると思われる。

これは少々驚きだ。振動の処理のしやすさという通常の90度V型のメリットの一つを捨てるわけだから。しかしこれが、振動に苦しんだ理由だったということは理解できる。ポルシェが90度V型を選んだのは、コンパクトさというパッケージング上のメリットと、車体と直接結合された場合の剛性だけを求めてのことだったということだ。

ただし、エネルギー効率を考えると、等間隔爆発を選択したのは、そのほうがターボと、熱エネルギー回生ユニットのタービンを駆動するには効率が良いのだろう。

そのターボと熱エネルギー回生のための排気の取り回しについては、写真をみると、左右それぞれの2気筒分の排気がまとめられたあと、エンジン中央上部のターボと回生ユニットがならんだあたりに両側から持ち上げられ、真ん中でまとまったあと、ターボと回生ユニットに振り分けられているように見える。一見大雑把にも見える構成だが、回生用タービンは可変ジオメトリーらしいから(他の情報源)、うまく過給圧も制御できているのではないだろうか。明らかにウエストゲートと分かるものは見当たらない。どこかに隠れているのか、あるいは回生用タービンの可変機構だけで十分制御できるのかもしれない。

以上、あくまで素人の勝手な推測だが、一見これまでのエンジン設計の常識からはずれてはいても、ハイブリッドシステムの効率を合理的に考え抜かれた構成のポルシェのマシンが、最後のライバルであったトヨタチームに続いた不運なトラブルに助けられた面もあったが、ついに最後までル・マンで勝ち続けたのだ。

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