マイルスの代表作としてあげるには、あまりにもド定番なのだけれど、マイルスの作品の中ではおろか、ジャズのアルバムとして世界で最も売れているのがこのアルバムなのだという。
つまり、ジャズといえばこれ、という定番と言っても良いということになるわけだ。
しかし、そのことは果たしてジャズという音楽にとって幸福なことだろうか。
ジャズ初心者にとっては決してジャズの分かりやすい魅力を見つけられる音楽ではない。鮮やかな印象を残すような音ではなく、むしろ全体的にくすんだ音だ。これを聴かされた初心者は、ああ、やっぱりジャズは分からない、自分には関係ないものだ、と感じてしまうんじゃないだろうか。
ジャズ史的にはモード奏法という新しい方法論による演奏のはしりということになっていて、そういう意味ではコンセプチュアルアートのような作品でもある。
ただ、だからといって、重要なコンセプトを具現化した作品として頭で理解してそれで終わり、というだけの音楽ではないことも確かで、ああ、聴きたい、と思わせる魅力が確かにある作品なのだ。
音がいいとその魅力が余計に伝わってくる。
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