美しいヘブライ語の歌 MISHEHU

とても美しい歌だ。動画の背景は宗教的な雰囲気がただよっているが、この歌が宗教的な意味をもっているのかどうかはよく分からない。

この歌の歌詞と英訳はこちら。

歌っているのは、Roni Dalumi　というイスラエルの女性シンガー。ミズラヒムと呼ばれる東洋系ユダヤ人、それぞれリビアとイラク出身の両親を持つ。

イスラエルのユダヤ人といってもひとくくりにはできない。主流派である東欧系のアシュケナジムとそれ以外のスファラディム、この二つの勢力の間の格差はよく指摘されるが、最初にシオニズムを発案したのは主流のアシュケナジムではなくスファラディムの知識層であり、それに対して貧しいが数の多いアシュケナジムの大衆がスファラディムを批判した、という動きもシオニズム運動の初期にはあったらしい。しかし建国されたイスラエルにおいてエリート層を占めたのはアシュケナジムであり、スファラディムの人々は後から移住してきて条件の悪い境遇におかれ、失業率も高い。東洋系のミズラヒムはスファラディムに含まれて考えられることが多いようだ。

政治的な動きはともかく、どんな事情にあっても、人はともかく生きなければならない。多くの善良な大衆の姿は、歴史の表面の動きとは別のところにあるのだろう。音楽、特にポピュラー音楽は、大衆の生活に密着している。だからこそ、音楽は政治的な壁を乗り越えて魂に訴える力があるのだ。