日本史の中で最初の武家政権となった鎌倉幕府を興した源頼朝の配流の地とされる蛭ヶ小島(真偽は定かでないらしいが)。かつては狩野川の中州だったとも言われるが、現在の狩野川の川筋からは離れており、周囲には水田が広がっている。
その源頼朝から源氏の将軍は三代続いたものの、その後北条家が世襲する執権に実権を奪われることになったが、その実権移行のプロセス、さらにその後の鎌倉幕府の政権の推移は、粛清の嵐が続いた。怨霊すら恐れない「リアリズム」の時代だったといえる。
その鎌倉幕府が滅び、その後の武家政権を担った室町幕府の時代に、有名な観阿弥・世阿弥によって猿楽が集大成され、夢幻能が完成された。
夢幻能には亡霊や神仙・鬼といった「あの世」の存在が主役となる。しかも、鎌倉政権の成立につながった源平の戦いを題材とする演目も数多い。そういった能がその後武士階級の文化となったのは、鎌倉時代のリアリズムの反動だったのだろうか。
江戸時代には、能は武士階級の必須の教養だったというから(身体能力を高める「和の所作」 安田登 著)、武士階級の精神性に少なからず影響を与えたのではないかと想像する。
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